日英包括的経済連携協定

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第A節 原産地規則

この章の規定の適用上、
(a) 「養殖」とは、成育又は成長の過程において生産を高めるための関与(通常の備蓄、給餌、捕食生物からの保護等)により、種苗(卵、稚魚、幼魚、幼生、小魚その他幼生期の後も成魚ではない魚等)から水生生物(魚、水棲無脊椎動物(軟体動物及び甲殻類を含む。)、水生植物等)を飼養することをいう。
(b) 「貨物」とは、一の輸出者から一の荷受人に同時に送付される産品又は一の輸出者から一の荷受人への産品の輸送を扱う単一の運送書類(当該書類がない場合には、単一の仕入書)の対象となる産品をいう。
(c) 「輸出者」とは、締約国に所在する者であって、当該締約国の法令に定める要件に従い、原産品を輸出し、又は生産するもの(原産地に関する申告を作成する者に限る。)をいう。
(d) 「輸入者」とは、原産品を輸入する者であって、当該原産品について関税上の特恵待遇を要求するものをいう。
(e) 「材料」とは、物又は物質であって、産品生産において使用されるもの(構成要素、成分、原材料及び部品を含む。)をいう。
(f) 「非原産材料」とは、この章の規定に従って原産品とされない材料原産品としての資格を決定することができない材料を含む。)をいう。
(g) 「関税上の特恵待遇」とは、第2.8条1の規定に従って原産品について適用する関税率をいう。
(h) 「産品」とは、生産によって生ずる物又は物質(他の産品生産するための材料としての使用を目的とするものを含む。)をいい、前章に規定する産品をいうものと了解する。
(i) 「生産」とは、全ての種類の作業又は加工をいい、組立てを含む。
1 一方の締約国が他方の締約国原産品に対する関税上の特恵待遇を第2.8条1の規定に従って適用するに当たり、次に掲げる産品は、この章に規定する他の全ての関連する要件を満たす場合には、他方の締約国原産品とする。
(a) 次条に定めるところにより完全に得られ、又は生産される産品
(b) 他方の締約国原産材料のみから生産される産品
(c) 非原産材料を使用して生産される産品であって、附属書3-Bに定める全ての関連する要件を満たすもの
2 この章の規定の適用上、締約国についての地理的適用範囲には、自国の領海の外側に位置する海、海底及びその下を含まない。
3 産品生産において使用される非原産材料は、当該産品原産品としての資格を取得した場合において、当該産品が他の産品材料として組み込まれるときは、非原産材料とはしない。
4 原産品としての資格の取得に関するこの章に定める要件は、締約国において中断することなく満たされなければならない。
1 前条の規定の適用上、次に掲げる産品は、締約国において完全に得られる産品とする。
(a) 当該締約国において栽培され、耕作され、収穫され、採取され、又は採集される植物又は植物性生産
(b) 生きている動物であって、当該締約国において生まれ、かつ、成育されたもの
(c) 生きている動物(当該締約国において成育されたもの)から得られる産品
(d) とさつされた動物(当該締約国において生まれ、かつ、成育されたもの)から得られる産品
(e) 当該締約国において狩猟、わなかけ、漁ろう、採集又は捕獲により得られる動物
(f) 当該締約国において養殖により得られる産品
(g) 当該締約国において抽出され、又は得られる鉱物その他の天然の物質((a)から(f)までに規定するものを除く。)
(h) 当該締約国の船舶により、両締約国の領海の外側に位置し、かつ、国際法に基づく第三国の領海の外側に位置する海、海底又はその下から得られる魚介類その他の海洋生物
(i) 両締約国の領海の外側に位置し、かつ、国際法に基づく第三国の領海の外側に位置する当該締約国の工船上で(h)に規定する産品のみから生産される産品
(j) 当該締約国又は当該締約国の者により、両締約国の領海の外側に位置し、かつ、第三国が管轄権を行使する区域の外側に位置する海底又はその下から得られる産品(魚介類その他の海洋生物を除く。)。ただし、当該締約国又は当該締約国の者が、国際法に基づき当該海底又はその下を開発する権利を有することを条件とする。
(k) 次のいずれかの産品
(i) 当該締約国における生産から生ずる廃品又はくず
(ii) 当該締約国において収集される使用済みの産品から生ずる廃品又はくずであって、原材料の回収にのみ適するもの
(l) 当該締約国において(a)から(k)までに規定する産品又はこれらの派生物のみから生産される産品
2 1(h)に規定する「締約国の船舶」又は1(i)に規定する「締約国の工船」とは、それぞれ、次の全ての要件を満たす船舶又は工船をいう。
(a) 当該締約国において登録されていること。
(b) 当該締約国を旗国とすること。
(c) 次のいずれかの要件を満たすこと。
(i) 当該締約国又は欧州連合(注1)の一又は二以上の自然人(注2)が50パーセント以上の持分を所有していること。
注1 この章の規定の適用上、「欧州連合」と地理的意味でいうときは、欧州連合に関する条約及び欧州連合運営条約(これらの改正を含む。)がこれらの条約に定める条件の下に適用される領域並びに欧州連合の法令を適用するために欧州連合の関税法典を定める2013年10月9日の欧州議会及び閣僚理事会の規則(EU)第952.2013号第4条(その欧州連合による改正を含む。)に規定する欧州連合の関税領域を意味するものと了解する。第1.8条の規定は、この注において言及する欧州連合の法令については、適用しない。この注の第一文の規定にかかわらず、この章の規定の適用上、「欧州連合」には、セウタ及びメリリャを含まない。
注2 この章の規定の適用上、「欧州連合の自然人」とは、欧州連合構成国の関係法令に基づく当該欧州連合構成国の国民をいう。
(ii) 次の(A)及び(B)の要件を満たす一又は二以上の法人(注)が所有していること。
注 この章の規定の適用上、「法人」とは、営利目的であるかどうかを問わず、また、民間の所有であるか政府の所有であるかを問わず、関係法令に基づいて適正に設立され、又は組織される法定の事業体(社団、信託、組合、合弁企業、個人企業及び団体を含む。)をいう。
(A) 当該締約国内又は欧州連合内に本店及び主たる営業所を有すること。
(B) 当該締約国又は欧州連合の自然人又は法人(注)が50パーセント以上の持分を所有していること。
注 この章の規定の適用上、「欧州連合の法人」とは、欧州連合構成国の関係法令に基づく当該欧州連合構成国の法人をいう。
1 第3.2条1(c)の規定にかかわらず、締約国における産品生産において、非原産材料に対して次に掲げる一又は二以上の工程のみが行われる場合には、当該産品は、当該締約国原産品としてはならない。
(a) 輸送又は保管の間に当該産品を良好な状態に保つことを確保することのみを目的とする保存のための工程(乾燥、冷凍、塩水漬け等)その他これに類する工程
(b) 改装
(c) 仕分
(d) 洗浄、浄化又は粉じん、酸化物、油、塗料その他の被覆の除去
(e) 紡織用繊維及びその製品のアイロンがけ又はプレス
(f) 塗装又は研磨の単純な工程
(g) 穀物及び米について、殻を除き、一部若しくは全部を漂白し、研磨し、又は艶出しする工程
(h) 砂糖を着色し、これに香味を付け、若しくはこれを角砂糖とするための工程又は固体の砂糖の一部若しくは全部を粉砕する工程
(i) 果実、ナット又は野菜の皮、核又は殻を除く工程
(j) 研ぐこと、単純な破砕又は単純な切断
(k) ふるい分け、選別、分類、格付又は組み合わせる工程(物品をセットにする工程を含む。)
(l) 瓶、缶、フラスコ、袋、ケース又は箱に単純に詰めること、カード又は板への単純な固定その他の全ての単純な包装工程
(m) 産品又はその包装にマーク、ラベル、シンボルマークその他これらに類する識別表示を付し、又は印刷する工程
(n) 産品の単純な混合(注)(異なる種類の産品の混合であるかどうかを問わない。)
注 この条の規定の適用上、産品の単純な混合には、砂糖の混合を含む。
(o) 単に水を加えること、希釈、脱水又は産品の変性(注)
注 この条の規定の適用上、変性には、特に、毒性を有する物質又はひどい味の物質の添加による食用に適しない産品の製造を含む。
(p) 完成した物品若しくは統一システムの解釈に関する通則2(a)の規定に従って完成したものとして分類される物品とするための部品の単純な収集若しくは組立て又は産品の部品への分解
(q) 動物のとさつ
2 1の規定の適用上、1に規定する工程を行うために専門的な技能又は特別に生産され、若しくは設置された機械、器具若しくは設備を必要としない場合には、当該工程は、単純な工程とする。
1 一方の締約国原産品とされる産品は、他方の締約国において他の産品生産するための材料として使用される場合には、他方の締約国原産品とみなす。
2 欧州連合の原産品とされる産品(注1)は、締約国において附属書3-Cに特定する統一システム(注2)の類及び項に分類される他の産品生産するための材料として使用される場合には、当該締約国原産品とみなす。
注1 両締約国は、次に掲げる産品をこの章に規定する欧州連合の原産品として取り扱う。
(a) アンドラ公国の原産品であって、統一システムの第25類から第97類までの各類に分類されるもの
(b) サンマリノ共和国の原産品
産品がアンドラ公国の原産品又はサンマリノ共和国の原産品であるかどうかを決定するに当たっては、この章の規定に基づく原産地規則を準用する。
注2 この章において言及する統一システムの関税分類番号は、2017年1月1日に改正された統一システムに基づくものである。
3 一方の締約国において非原産材料について行われた生産は、産品が他方の締約国原産品であるかどうかを決定するに当たって考慮することができる。
4 欧州連合において非原産材料について行われた生産は、附属書3-Cに特定する統一システムの類及び項に分類される産品締約国原産品であるかどうかを決定するに当たって考慮することができる。
5 1及び3の規定は、他方の締約国において行われた生産が前条1(a)から(q)までに規定する一又は二以上の工程の水準を超えない場合には、適用しない。
6 2及び4の規定は、締約国において行われた生産が前条1(a)から(q)までに規定する一又は二以上の工程の水準を超えない場合には、適用しない。
7 輸出者は、3及び4に規定する産品に関し、第3.16条2(a)に規定する原産地に関する申告を完成させるため、附属書3-Dに規定する情報を当該産品についての供給者から入手しなければならない。
8 7に規定する情報は、当該情報が提供された日から12箇月を超えない期間内に供給される同一の材料についての単一又は複数の貨物について適用される。
9 2及び4の規定の適用上、産品が欧州連合の原産品であるかどうかを決定し、又は欧州連合において非原産材料について行われた生産を考慮するに当たっては、この章の規定に基づく原産地規則を準用する。
10 日本国は、自国が欧州連合との間において1994年のガット第24条に規定する自由貿易地域を構成する貿易協定(効力を有するもの)を締結している場合には、当該貿易協定の適用上次のとおりとすることについて欧州連合との間で合意することを追求することができる。
(a) 英国の原産品とされる産品につき、日本国又は欧州連合において他の産品生産するための材料として使用される場合には、日本国又は欧州連合の原産品とみなすこと。
(b) 英国において英国の非原産材料について行われた生産につき、産品が日本国又は欧州連合の原産品であるかどうかを決定するに当たって考慮することができること。
11 英国は、自国が欧州連合との間において1994年のガット第24条に規定する自由貿易地域を構成する貿易協定(効力を有するもの)を締結している場合には、当該貿易協定の適用上次のとおりとすることについて欧州連合との間で合意することを追求することができる。
(a) 日本国の原産品とされる産品につき、英国又は欧州連合において他の産品生産するための材料として使用される場合には、英国又は欧州連合の原産品とみなすこと。
(b) 日本国において日本国の非原産材料について行われた生産につき、産品が英国又は欧州連合の原産品であるかどうかを決定するに当たって考慮することができること。
12 両締約国は、10及び11に規定する合意の結果を反映するため、この章の規定に基づく累積の適用に関する更なる条件(追加的な品目別原産地規則を含む。)について交渉することができる。当該交渉により結果が出る場合には、その結果は、第24.2条の規定に従ってこの協定に組み込まれる。
1 産品生産において使用される非原産材料が附属書3-Bに定める要件を満たさない場合において、次のときは、当該産品は、締約国原産品とみなす。
(a) 統一システムの第1類から第49類まで又は第64類から第97類までの各類に分類される産品については、全ての非原産材料の価額が当該産品の工場渡しの価額又は本船渡しの価額の10パーセントを超えないとき。
(b) 統一システムの第50類から第63類までの各類に分類される産品については、附属書3-A注釈6から注釈8までに定める許容限度が適用されるとき。
2 1の規定は、産品生産において使用される非原産材料の価額が、附属書3-Bに定める要件において特定される非原産材料の最大価額(百分率で表示されるもの)を超える場合には、適用しない。
3 1の規定は、第3.3条に規定する締約国において完全に得られる産品については、適用しない。附属書3-Bの規定が産品生産において使用される材料が完全に得られる産品であることを要求する場合には、1及び2の規定を適用する。
1 この章の規定の適用上、原産品としての資格の単位は、統一システムに基づいて産品を分類する場合の基本的な単位とされる特定の産品とする。
2 貨物が統一システムの同一の項に分類される複数の同一の産品から成る場合には、この章の規定を適用するに当たり、個別の産品ごとに考慮する。
1 原産材料である代替性のある材料及び非原産材料である代替性のある材料については、その原産品としての資格を維持するため、保管の期間において、物理的に分離する。
2 この条の規定の適用上、「代替性のある材料」とは、種類及び商業上の品質が同一である材料(同一の技術的及び物理的特性を有するもの)であって、完成品に組み込まれた後はそれぞれを区別することができないものをいう。
3 1の規定にかかわらず、原産材料である代替性のある材料及び非原産材料である代替性のある材料については、会計の分離の方法を用いることを条件として、保管の期間において物理的に分離することなく産品生産するために使用することができる。
4 3に規定する会計の分離の方法については、締約国において一般的に認められている会計原則に基づく在庫管理方式に従って適用する。
5 締約国は、自国の法令に定める条件の下で、会計の分離の方法の使用を当該締約国の税関当局による事前の許可の対象とすることを要求することができる。当該締約国の税関当局は、当該許可の運用を監視するものとし、当該許可を取得した者が会計の分離の方法を不適正に使用する場合又はこの章に定める他のいずれかの条件を満たさない場合には、当該許可を取り消すことができる。
6 会計の分離の方法は、いかなる場合にも、代替性のある材料を物理的に分離していたならば原産品としての資格を有したであろう数量を超えて、当該代替性のある材料原産品としての資格を有しないことを確保する方法とする。
統一システムの解釈に関する通則3(b)及び(c)の規定に従って関税分類が決定されるセットは、その全ての構成要素がこの章の規定に基づく原産品である場合には、締約国原産品とする。セットは、原産品である構成要素及び非原産品である構成要素から成る場合には、非原産品である構成要素の価額が当該セットの工場渡しの価額又は本船渡しの価額の15パーセントを超えないことを条件として、当該セット全体として締約国原産品とする。
1 輸入締約国において国内使用のために申告される原産品については、輸出の後、かつ、国内使用のために申告される前に、変更してはならず、何らかの改変を行ってはならず、並びに当該原産品を良好な状態に保存するために必要な工程及びマーク、ラベル、封印その他書類を付し、又は施す工程(輸入締約国の特定の国内的な要件の遵守を確保するためのもの)以外の工程を行ってはならない。
2 産品の蔵置又は展示は、当該産品が第三国において税関の監視の下に置かれていることを条件として、当該第三国において行うことができる。
3 貨物の分割は、当該分割が輸出者によって又は輸出者の責任の下で行われる場合には、当該貨物が第三国の税関の監視の下に置かれていることを条件として、当該第三国において行うことができる。ただし、この3の規定は、次節の規定の適用を妨げるものではない。
4 輸入締約国の税関当局は、1から3までの規定が遵守されているかどうかについて疑義がある場合には、輸入者に対し、遵守の証拠であって何らかの方法によるもの(船荷証券等の契約上の運送書類、事実関係の又は具体的な証拠(包装の表示又は包装に付された番号に基づくもの)、産品自体に関連する証拠等)を提供するよう要求することができる。
締約国から第三国に輸出された当該締約国原産品が当該締約国に返送された場合には、当該原産品については、非原産品とみなす。ただし、当該締約国の税関当局に対し、その返送された原産品について次の(a)及び(b)の要件が満たされていると当該税関当局が認めるに足りる十分な立証が行われる場合は、この限りでない。
(a) 輸出された当該締約国原産品と同一のものであること。
(b) 当該第三国にある間又は輸出のための輸送中に、当該返送された原産品を良好な状態に保存するために必要な工程以外の工程が行われなかったこと。
1 附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料は、次の場合には、この条の規定の適用の対象となる。
(a) 附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料が、産品に含まれるものとして分類され、及び当該産品と共に納入されており、並びにその仕入書が当該産品の仕入書と別立てにされていない場合
(b) 附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料の種類、数量及び価額が産品について慣習的なものである場合
2 産品が完全に得られたものであるかどうか又は産品が附属書3-Bに定める生産工程の要件若しくは関税分類の変更の要件を満たすかどうかを決定するに当たり、附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料については、考慮しない。
3 産品が附属書3-Bに定める価額の要件を満たすかどうかを決定するに当たり、当該産品に価額の要件を適用するための算定において、附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料の価額を場合に応じて原産材料又は非原産材料として考慮する。
4 産品の附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料は、これらと共に納入される当該産品原産品としての資格と同一の資格を有する。
産品締約国原産品であるかどうかを決定するに当たり、次に掲げる要素の原産品としての資格については、決定する必要はないものとする。
(a) 燃料、エネルギー、触媒及び溶剤
(b) 当該産品の試験又は検査に使用される設備、装置及び備品
(c) 手袋、眼鏡、履物、衣類並びに安全のための設備及び備品
(d) 機械、工具、ダイス及び鋳型
(e) 設備及び建物の維持のために使用される予備部品及び材料
(f) 生産において使用され、又は設備及び建物の稼働のために使用される潤滑油、グリース、コンパウンド材その他の材料
(g) 産品に組み込まれない他の材料であって、当該産品生産における使用が当該生産の一部であると合理的に証明することができるもの
輸送中の産品を保護するために使用される輸送用のこん包材料及びこん包容器については、当該産品原産品としての資格を決定するに当たって考慮しない。
1 産品を小売用に包装するための包装材料及び包装容器については、当該産品に含まれるものとして分類される場合には、当該産品生産において使用された全ての非原産材料が附属書3-Bに定める該当する関税分類の変更若しくは生産工程を行ったかどうか又は当該産品が完全に得られたものであるかどうかを決定するに当たって考慮しない。
2 産品が附属書3-Bに定める価額の要件の対象となる場合において、当該産品を小売用に包装するための包装材料及び包装容器が当該産品に含まれるものとして分類されるときは、当該産品に価額の要件を適用するための算定に当たり、当該包装材料及び包装容器の価額を場合に応じて原産材料又は非原産材料として考慮する。
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第B節 原産地手続

1 輸入締約国は、輸入に際し、輸入者による他方の締約国原産品についての関税上の特恵待遇の要求に基づき、当該原産品について関税上の特恵待遇を与える。輸入者は、関税上の特恵待遇の要求の正確性及びこの章に定める要件の遵守について責任を負う。
2 関税上の特恵待遇の要求は、次のいずれかに基づくものとする。
(a) 産品原産品であることについての輸出者によって作成された原産地に関する申告
(b) 産品原産品であることについての輸入者の知識
3 関税上の特恵待遇の要求及び2(a)又は(b) に定めるその根拠は、輸入締約国の法令に従って、税関への輸入申告に含められるものとする。輸入締約国の税関当局は、輸入者に対し、産品がこの章に定める要件を満たすことの説明を当該輸入者が提供することができる範囲において、税関への輸入申告の一部として、又は当該輸入申告に添付して、当該説明を行うよう要求することができる。
4 2(a)に規定する原産地に関する申告に基づいて関税上の特恵待遇の要求を行った輸入者は、当該原産地に関する申告を保管し、及び輸入締約国の税関当局から要求された場合には、当該税関当局に対してその写しを提供する。
5 2から4までの規定は、第3.20条の規定に該当する場合には、適用しない。
1 原産地に関する申告については、産品原産品であることを示す情報(当該産品生産において使用された材料原産品としての資格に関する情報を含む。)に基づいて当該産品輸出者が作成することができる。輸出者は、原産地に関する申告及び提供する当該情報の正確性について責任を負う。
2 原産地に関する申告については、附属書3-Eに規定する申告文のうちいずれかの言語によるものを用いて、仕入書その他の商業上の文書(原産品について特定することができるよう十分詳細に説明するもの)上に作成する。輸入締約国は、輸入者に対して原産地に関する申告の翻訳文を提供するよう要求してはならない。
3 輸入締約国の税関当局は、原産地に関する申告における軽微な誤り若しくは表現の相違を理由として、又は仕入書が第三国において発給されたことのみを理由として、関税上の特恵待遇の要求を否認してはならない。
4 原産地に関する申告は、次のいずれかの期間有効なものとする。
(a) 5(a)に規定する1回限りの輸送については、原産地に関する申告の作成の日から12箇月間又は輸入締約国の定めるこれよりも長い期間
(b) 5(b) に規定する2回以上の輸送については、原産地に関する申告の作成の日から12箇月間
5 原産地に関する申告は、次のいずれかの輸送に適用することができる。
(a) 締約国に輸入される一又は二以上の産品の1回限りの輸送
(b) 締約国に輸入される同一の産品の2回以上の輸送(原産地に関する申告に記載する12箇月を超えない期間内に行われるもの)
6 統一システムの解釈に関する通則2(a) に規定する組み立ててないか又は分解してある産品であって、統一システムの第15部から第21部までに該当するものが輸入者の要求により複数回に分けて輸入される場合には、当該産品についての単一の原産地に関する申告については、輸入締約国の税関当局が定める条件に従って使用することができる。
産品が輸出締約国原産品であることについての輸入者の知識は、当該産品原産品であること及びこの章に定める要件を満たすことを示す情報に基づくものとする。
1 輸入締約国に輸入される産品について関税上の特恵待遇の要求を行った輸入者は、当該産品の輸入の日の後少なくとも3年間、次に掲げるものを保管する。
(a) 当該関税上の特恵待遇の要求が原産地に関する申告に基づくものである場合には、輸出者によって作成された当該原産地に関する申告
(b) 当該関税上の特恵待遇の要求が輸入者の知識に基づくものである場合には、当該産品原産品としての資格を得るための要件を満たすことを示す全ての記録
2 原産地に関する申告を作成した輸出者は、当該原産地に関する申告を作成した日の後少なくとも4年間、当該原産地に関する申告の写し及び産品原産品としての資格を得るための要件を満たすことを示す他の全ての記録を保管する。
3 この条の規定に従って保管する記録は、電子的な様式で保管することができる。
4 1から3までの規定は、次条の規定に該当する場合には、適用しない。
1 私人である者から私人である者に対して小包として送付される産品又は旅行者の手荷物の一部を構成する産品は、原産品として認める。ただし、当該産品が、貿易により輸入されるものでないこと(注)及びこの章に定める要件を満たすものとして申告されたものであることを条件とし、かつ、その申告の真実性について疑義がない場合に限る。
注 不定期の輸入であって、受領者若しくは旅行者又はこれらの家族の個人的な使用のための産品によってのみ構成されるものは、商業的目的のものでないことが当該産品の性質及び数量から明らかである場合には、貿易による輸入とみなしてはならない。
2 1に規定する産品(その輸入が原産地に関する申告に係る義務を回避することを目的として別個に行われたと合理的に認め得る輸入の一部を構成しないもの)の価額の総額は、輸入締約国が自国の法令に定める価額の限度(他方の締約国に通報したもの)を超えてはならない。
3 各締約国は、輸入締約国が第3.16条2に規定する関税上の特恵待遇の要求に関する要件を免除した産品の輸入について、当該関税上の特恵待遇の要求の根拠を求めないことを定めることができる。
1 輸入締約国の税関当局は、自国に輸入された産品が他方の締約国原産品であるかどうか又はこの章に定める他の要件を満たすかどうかを確認するため、第3.16条に規定する関税上の特恵待遇の要求を行った輸入者に対して情報の提供を要求することにより、危険性を評価する方法(無作為抽出を含む。)に基づく確認を行うことができる。輸入締約国の税関当局は、税関への輸入申告の時、産品の引取りの前又は産品の引取りの後に確認を行うことができる。
2 1の規定に従って要求される情報には、次に掲げる事項以外の事項を含めてはならない。
(a) 原産地に関する申告が第3.16条2(a) に規定する関税上の特恵待遇の要求の根拠である場合には、当該原産地に関する申告
(b) 産品の統一システムの関税分類番号及び用いられた原産性の基準
(c) 生産工程についての簡潔な記載
(d) 原産性の基準が特定の生産工程に基づくものである場合には、当該生産工程についての具体的な記載
(e) 該当する場合には、生産工程において使用された原産材料及び非原産材料についての記載
(f) 原産性の基準が「完全に得られるものであること」である場合には、該当する区分(収穫、採掘、漁ろう、生産された場所等)
(g) 原産性の基準が価額方式に基づくものである場合には、産品の価額及び生産において使用された全ての非原産材料又は価額の要件の遵守を確保するために適当なときは生産において使用された原産材料の価額
(h) 原産性の基準が重量に基づくものである場合には、産品の重量及び産品に使用された関連する非原産材料又は重量の要件の遵守を確保するために適当なときは産品に使用された原産材料の重量
(i) 原産性の基準が関税分類の変更に基づくものである場合には、全ての非原産材料の一覧表であって、当該非原産材料の統一システムの関税分類番号(原産性の基準に応じて2桁番号、4桁番号又は6桁番号の様式によるもの)を含むもの
(j) 第3.10条に規定する変更の禁止に関する規定の遵守に関連する情報
3 輸入者は、要求された情報を提供する場合には、確認の目的に関連すると認める他の情報を追加することができる。
4 輸入者は、輸入締約国の税関当局に対し、関税上の特恵待遇の要求が第3.16条2(a)に規定する原産地に関する申告に基づくものである場合において、要求された情報がその全てについて又は一若しくは二以上のデータの要素に関連して輸出者から直接提供され得るときは、その旨を通報する。
5 関税上の特恵待遇の要求が第3.16条2(b) に規定する輸入者の知識に基づくものである場合において、確認を行う輸入締約国の税関当局が、1の規定に従って情報の提供を最初に要求した後、産品原産品としての資格を確認するために追加の情報が必要であると認めるときは、当該税関当局は、輸入者に対して情報の提供を要求することができる。当該税関当局は、適当な場合には、輸入者に対して特定の文書及び情報の提供を要求することができる。
6 輸入締約国の税関当局は、関係する産品について確認の結果が出るまでの間関税上の特恵待遇を与えることを停止することを決定する場合には、適当な予防措置(担保を含む。)に従うことを条件として、輸入者に対して当該産品の引取りを提案する。関税上の特恵待遇の停止については、当該産品原産品としての資格又はこの章に定める他の要件が満たされていることが輸入締約国の税関当局によって確認された後できる限り速やかに解除する。
1 両締約国は、この章の規定の適正な適用を確保するため、産品原産品であるかどうか及びこの章に定める他の要件を遵守しているかどうかを確認するに当たり、各締約国の税関当局を通じて協力する。
2 関税上の特恵待遇の要求が第3.16条2(a) に規定する原産地に関する申告に基づくものである場合において、確認を行う輸入締約国の税関当局が、前条1の規定に従って情報の提供を最初に要求した後、産品原産品としての資格を確認するために追加の情報が必要であると認めるときは、当該税関当局は、さらに、当該産品の輸入の日の後2年の期間が満了する日又は当該原産地に関する申告の作成の日の後38箇月の期間が満了する日のいずれか早い方の日まで、輸出締約国の税関当局からの情報の提供を要請することができる。当該情報の提供の要請においては、次に掲げる情報を含めるべきである。
(a) 当該原産地に関する申告
(b) 当該要請を送付する税関当局を特定する事項
(c) 輸出者の氏名又は名称
(d) 確認の対象及び範囲
(e) 該当する場合には、関連する文書
輸入締約国の税関当局は、輸出締約国の税関当局に対し、当該情報に加えて、適当な場合には、特定の文書及び情報の提供を要請することができる。
3 輸出締約国の税関当局は、自国の法令に従い、記録を検討するため及び産品生産において使用された設備を視察するために、証拠の請求を通じて文書を要請し、又は輸出者の施設を訪問することによって行う審査を要請することができる。
4 2の規定に基づく要請を受領した輸出締約国の税関当局は、輸入締約国の税関当局に対して次に掲げる情報を提供する。ただし、この4の規定は、5の規定の適用を妨げるものではない。
(a) 入手可能な場合には、要請された文書
(b) 産品原産品としての資格についての意見
(c) 審査の対象となっている産品についての記載及びこの章の規定の適用に関連する関税分類
(d) 産品原産品としての資格を裏付けるために十分な生産工程についての記載及び説明
(e) 審査が実施された方法についての情報
(f) 適当な場合には、裏付けとなる文書
5 輸出締約国の税関当局は、輸出者が4に規定する情報を秘密のものと認める場合には、当該情報を輸入締約国の税関当局に提供してはならない。
6 一方の締約国は、他方の締約国に対し、自国の税関当局の連絡先の詳細(郵便用宛名及び電子メールアドレス並びに電話番号及びファクシミリ番号を含む。)を通報し、及びこれらの情報に関する変更を当該変更の日の後30日以内に通報する。
締約国は、この章の規定に対する違反の疑いがある場合には、税関相互支援協定に従って相互に支援を行う。
1 輸入締約国の税関当局は、次のいずれかの場合には、関税上の特恵待遇を与えないことができる。ただし、この1の規定は、3の規定の適用を妨げるものではない。
(a) 第3.21条1の規定に基づく情報の提供の要求が行われた日の後3箇月以内に、
(i) 回答がない場合
(ii) 関税上の特恵待遇の要求が第3.16条2(b) に規定する輸入者の知識に基づくものである場合において、提供された情報が、産品原産品であることを確認するために十分でないとき。
(b) 第3.21条5の規定に基づいて情報の提供の要求が行われた日の後3箇月以内に、
(i) 回答がない場合
(ii) 提供された情報が、産品原産品であることを確認するために十分でない場合
(c) 第3.22条2の規定に基づいて情報の提供の要請が行われた日の後10箇月以内に、
(i) 回答がない場合
(ii) 提供された情報が、産品原産品であることを確認するために十分でない場合
(d) 前条の規定に基づく支援を事前に要請した後、相互に合意した期間内に、第3.16条1に規定する関税上の特恵待遇の要求の対象となっている産品に関して、
(i) 輸出締約国の税関当局が支援を行わない場合
(ii) 支援の結果が、当該産品原産品であることを確認するために十分でない場合
2 輸入締約国の税関当局は、輸入者が産品について関税上の特恵待遇を要求する場合において、当該輸入者がこの章に定める要件(当該産品原産品としての資格に関連するものを除く。)を満たさないときは、当該産品に関税上の特恵待遇を与えないことができる。
3 輸入締約国の税関当局は、輸出締約国の税関当局が第3.22条4(b) の規定に従って産品原産品としての資格を確認する意見を提供した場合において、輸入締約国の税関当局が1の規定に従って関税上の特恵待遇を与えないことを正当とする十分な根拠があるときは、輸出締約国の税関当局に対し、当該意見を受領した日の後2箇月以内に、関税上の特恵待遇を与えない意思を通報する。その通報が行われた場合において、締約国の要請があったときは、当該通報が行われた日の後3箇月以内に協議を行う。当該協議の期間は、個々の場合に応じて両締約国間の相互の合意により延長することができる。当該協議は、第23.3条の規定に基づいて設置される原産地規則及び税関に関連する事項に関する専門委員会が定める手続に従って行うことができる。輸入締約国の税関当局は、当該協議の期間が満了した時に、関税上の特恵待遇を与えないことを正当とする十分な根拠に基づいてのみ、かつ、輸入者に意見を述べる権利を与えた後にのみ、関税上の特恵待遇を与えないことができる。
1 一方の締約国は、この章の規定に従って他方の締約国から自国に提供される全ての情報の秘密を自国の法令に従って保持するものとし、当該情報を開示から保護する。
2 輸入締約国の税関当局がこの章の規定に従って入手した情報については、この章の規定の実施のために、当該税関当局のみが使用することができる。
3 この章に別段の定めがある場合を除くほか、輸出締約国の税関当局又は輸入締約国の税関当局が第3.21条及び第3.22条の規定の適用により輸出者から入手した業務上の秘密の情報は、開示してはならない。
4 輸入締約国は、自国の税関当局がこの章の規定に従って入手した情報については、裁判所又は裁判官の行う刑事手続において使用してはならない。ただし、輸出締約国が自国の法令に基づき当該情報の使用の許可を与えた場合は、この限りでない。
締約国は、産品について関税上の特恵待遇を得るために提供された文書であって不正確な情報を含むものを作成し、又は作成させた者(第3.19条に定める義務を遵守していない者又は第3.22条3に規定する証拠を提供せず、若しくは同条3に規定する訪問を拒否する者に限る。)に対し、自国の法令に従って行政上の措置をとり、及び適当な場合には制裁を科する。
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第C節 雑則

1 第23.3条の規定に基づいて設置される原産地規則及び税関に関連する事項に関する専門委員会(以下この章において「専門委員会」という。)は、第4.14条1に規定する他の責任に加えて、この章の規定の効果的な実施及び運用について責任を負う。
2 この章の規定の適用上、専門委員会は、次の任務を有する。
(a) 次の事項に関し、検討し、及び必要な場合には合同委員会に対して適当な勧告を行うこと。
(i) この章の規定の実施及び運用
(ii) 締約国から提案されるこの章の規定の改正
(b) この章の規定の実施を円滑にするための注釈を採択すること。
(c) 第3.24条3に規定する協議の手続を定めること。
(d) 両締約国の代表者が合意するこの章の規定に関連する他の問題について検討すること。
この協定の規定は、この章の規定に適合する産品であって、この協定の効力発生の日に輸出締約国から輸入締約国に輸送中であるもの又は輸入締約国において輸入税を納付することなく税関の管理下にあるものについて適用することができる。ただし、同日から12箇月以内に輸入締約国の税関当局に対して第3.16条に規定する関税上の特恵待遇の要求が行われることを条件とする。
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