2024年2月29日
東京共同会計事務所/株式会社東京共同トレード・コンプライアンス
株式会社NTTデータ

 株式会社東京共同トレード・コンプライアンス(以下、東京共同)と株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)が提供する、経済連携協定(以下、EPA注1)活用プラットフォームである「JAFTAS®注2」(読み:ジャフタス)は、2024年2月、経済産業省/日本商工会議所が提供する「第一種特定原産地証明書発給システム」(以下、発給システム)と接続し、国内初の官民連携によるシステム間接続を実現します。開始当初は一部JAFTAS利用企業に対するサービス展開とし、同年夏頃を目途に全JAFTAS利用企業にサービスを提供します。
 日本から輸出される商品が輸入国でEPAに基づく税率(通常の関税率よりも低い税率)の適用を受けるためには、輸入国税関へEPAの原産地証明書「第一種特定原産地証明書」を提出する必要があります。この証明書の発給は経済産業大臣の指定発給機関である日本商工会議所が行っており、各企業は発給システムを通じてEPAに基づく原産品であることの判定審査を依頼し、日本商工会議所から承認された後に、証明書の発給申請を行います。注3
 JAFTASと発給システムの接続により、JAFTAS利用企業は、証明に使用したデータや書類をシステム間で直接連携して日本商工会議所への判定審査の依頼を行えるようになります。手作業によるヒューマンエラーや膨大な書類管理などの課題が解消されることで、さらなるEPA活用拡大を目指します。

1.背景

 近年、RCEP協定注4など日本と主要貿易国・地域間でEPAが相次いで発効され、関税減免により、海外での販売拡大の機会が広がっています。また、コロナ後の国内経済回復や円安等を契機として、EPAを活用した輸出ビジネスの拡大を検討する企業は増加傾向にあります。一方で、EPAに基づく原産品であることの証明プロセスが煩雑であることなどから、EPAを活用している企業の割合は6割程度注5に留まっています。こうした状況のもと、2022年度に官民有識者による「EPA活用推進会議」が発足するなど、円滑にEPAを活用できる環境整備に向けた官民連携による取り組みが進められています。
 東京共同とNTTデータは、2020年より自動車業界標準のEPA活用プラットフォーム「JAFTAS」を提供しています。日本自動車工業会と日本自動車部品工業会からの協力により開発し、2020年9月に運用を開始しました。各企業におけるEPA原産地証明プロセスを標準化し、利用企業へ証明ノウハウと併せて提供しています。JAFTASを利用することで、マンパワーでの原産地証明プロセスにかかっていた作業時間を約4割短縮するとともに、サプライチェーン上の取引先の機密情報や価格情報の保護を可能とし、JAFTAS利用企業が安心してEPA関連手続きを実施するための環境を提供しています。昨今ではその利便性が評価され、業界を超えて利用企業が増加しています。
 東京共同とNTTデータは、「EPA活用推進会議」に有識者として参加し、EPA活用プラットフォーム間のデータ連携サービスの有効性や実現方法、JAFTASの幅広い業界での活用について議論を進めてきました。このたび、政府の令和4年度補正「貿易投資促進事業費補助金(貿易プラットフォーム活用による貿易手続きデジタル化推進事業)」注6の一環として、経済産業省の支援を受けてJAFTASと日商発給システムとの連携を実施することとなりました。

2.概要・効果

 現状、JAFTAS利用企業はJAFTASでEPAに基づく原産品であることを証明した後に、発給システムにログインし、JAFTASで行ったEPAに基づく原産品であることの調査内容や手続きに必要な関係書類を発給システムに入力・アップロードしたり、日商から判定審査結果を入手した後はJAFTASに登録して輸出者へ回答したりしています。両システムの接続により、JAFTASへのログインだけで、JAFTASで使用したデータや書類の日商発給システムへの送付、日本商工会議所からの判定審査結果受領が可能になります。再入力する際の転記ミスや、書類の手動アップロード/メール・FAX等が不要となることで、原産性調査のための作業全体の約3割が削減できる見込みであり、作業効率の大幅な向上を実現します。
 また、JAFTASで一定の品質が確保された内容が日商発給システムに連携されることで、日本商工会議所の判定審査担当者が行う申請内容のチェックなど、判定審査作業にかかる工数やリードタイムの削減も可能となります。
 現在のJAFTASユーザー数は1800社ですが、今回のシステム接続により新たにJAFTASを通じて日商発給システムとの連携を行う企業が増えることで、JAFTASが自動車業界のみならず国内全産業における横断的な標準EPA活用プラットフォームへと発展していくことが期待されます。

3.今後について

 東京共同とNTTデータは、今後も公的機関とのデータ連携や他の民間貿易プラットフォームとの接続を推進し、EPA関連手続きを簡素化・電子化するための全産業向け官民連携デジタルプラットフォームの構築を目指します。
 また、今回のプラットフォーム間の接続による公的機関とのデータ連携の取り組みは、カーボンニュートラルの達成や資源循環社会の実現などの社会課題解決に向けての展開にも資するものです。両社は今後、さまざまな企業や業界団体と連携して、EPA活用に留まらない新たなデータ流通プラットフォームの開発・推進とデジタルエコノミーによる新たな社会価値の創造にも取り組んでいきます。

参考
 自動車業界が標準化を支援、自由貿易協定活用支援システムを提供開始
   https://www.nttdata.com/global/ja/news/services_info/2020/061900/ 
 自動車輸出にまつわるFTA活用の深刻な問題と解決に向けた業界のアクションとは?
   https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/2021/033001/
 自由貿易協定活用に伴う業務を最大40%効率化する「JAFTAS®」がRCEPへ対応開始
   https://www.nttdata.com/global/ja/news/services_info/2021/100100/
 「EPA活用推進会議」で業界横断の貿易手続き電子化を推進
   https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2022/070502/

(注1) 経済連携協定(EPA)とは、国や地域間の取引でかかる関税や規制を緩和し、物品やサービスなどの貿易の拡大を促進するための協定である自由貿易協定(FTA)に加え、投資や知的財産権などより広範囲を取り決めた国際的協定です。
(注2) JAFTASとは、東京共同とNTTデータが共同開発した自動車業界標準のEPA活用支援システムです。自動車業界等主要12社と約1800社超のサプライヤー企業が利用し、導入企業では、サプライヤー企業からの原産資格調査結果の回答率が50%から75%に改善され、また、回答リードタイムが最大4割削減されるなどの効果が表れています。
(注3) 「経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律」に基づき、経済産業大臣が指定した発給機関である日本商工会議所が日商発給システムを通じて手続きに必要な証明書を発給しています。
(注4) RCEPは日本、中国、韓国などと東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の合計15カ国で構成され、世界最大の自由貿易圏を創出する経済連携協定です。減免対象となる貿易取引の規模が大きく、さらには、輸出最大国である中国と輸出量上位の韓国に対して初めて日本が締結する協定であることから、日本企業に大きな経済メリットをもたらすことが期待されています。
(注5) 「2022年度 輸出に関するFTAアンケート調査 報告書」(日本貿易振興機構(ジェトロ)調査部,2023年4月) 
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/b028f1cad079540d/20230001.pdf
(注6) 経済産業省の補助を受け、貿易プラットフォーム活用による貿易手続きデジタル化推進事業事務局(一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会が運営する。)が補助事業を実施しています。 https://www.pf-hojo-jastpro.org/

*「JAFTAS®」は株式会社東京共同トレード・コンプライアンスの登録商標です。
*その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です
*株式会社東京共同トレード・コンプライアンスは、「JAFTAS®」の運営のため東京共同会計事務所の100%出資により設立された会社です。

【本件に関するお問い合わせ先】
■ 報道関係のお問い合わせ先
東京共同会計事務所 / 株式会社東京共同トレード・コンプライアンス
JAFTAS事業部
広報担当 中垣
Tel:03-5219-8660 
E-mail:jaftas_info@tktc.co.jp

株式会社NTTデータ
広報部
西原
E-mail :nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp

■ 製品・サービスに関するお問い合わせ先
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第三公共事業本部 デジタルプラットフォーム事業部
第一システム統括部 第一営業担当
河田、篠田
Tel: 050-5546-2910
E-mail: epateam@kits.nttdata.co.jp