HS2022:第72類の解説

総説
この類には、鉄鋼、すなわち銑鉄、スピーゲル、フェロアロイその他の一次材料(1節)並びに鉄鋼工業におけるある種の生産品(インゴットその他の一次形状のもの、半製品及びそれらから直接得られる主要生産品)で、鉄又は非合金鋼のもの(2節)、ステンレス鋼のもの(3節)及びその他の合金鋼のもの(4節)を含む。
更に加工した物品(鋳造品、鍛造品等)並びに鋼矢板、溶接形鋼、鉄道又は軌道の線路用の建設資材及び管は、73類に又は場合によってはその他の類に属する。
鉄鋼工業では、原料として、26.01 項の解説に記載されている種々の天然の鉄鉱石(酸化物、水酸化物、炭酸塩)、硫化焼鉱(黄鉄鉱、白鉄鉱、磁硫鉄鉱等から硫黄を焼去した後の残留焼結鉄酸化物)及び鉄鋼のくずを使用する。
(Ⅰ)鉄鉱石の還元
鉄鉱石は高炉又は電気炉で還元により銑鉄に変えられるか又は種々の直接還元法により海綿状(海綿鉄)若しくはランプに変えられる。特殊な用途(例えば化学工業)に要求される特別に純粋な鉄は電気分解その他の化学的方法によって製造される。
(A)高炉法による鉄鉱石の還元
鉄鉱石から得られる鉄の大部分は、高炉法により作られる。この方法は、主に鉱石を原材料として使用するが、鉄鋼のくず、あらかじめ還元した鉄鉱石及び他の鉄鋼のくずも使用することができる。
高炉還元剤は、基本的にハードコークス(時には少量の石炭、液状若しくはガス状の炭化水素と結合している。)から成る。
このようにして得られた鉄は、溶融銑鉄の状態であり、副産物は鉱滓、高炉ガス、高炉灰である。
このように製造された溶融銑鉄の大部分は、製鋼所において直接鋼に変えられる。
一部のものは、鋳造工場(鉄工場)においてインゴット鋳型、鋳鉄管等の製造に使用される。
その他のものは、鋳造機又はサンドベッドによりなまこ形又はブロックに鋳造されるものがあり、また、プレートアイアンとして知られる不規則な形状をしたランプに製造され又は水中に注ぐことにより粒状にされるものもある。
固体状の銑鉄は、製鋼所において製鋼用に鉄くずとともに再溶解されるか又は鋳物工場において、キュポラ(cupola)若しくは電気炉で鉄くずとともに溶解され、鋳物にされる。
(B)直接還元炉における鉄鉱石の還元
上記の方法と異なり、還元剤は通常、気体状若しくは液体状の炭化水素又は石炭であり、ハードコークスの必要はない。
これらの方法では、還元温度は低いから、その結果生じる生産物(通常、海綿鉄として知られている。)は溶融状態を経ずに、海綿状、あらかじめ還元されたペレット状又はランプ状で得られる。この理由により、これらの炭素含有量は高炉銑鉄(ここでは溶融金属が炭素と密接に接触している。)よりも通常、少ない。これらの粗生産物の大部分は製鋼所で溶解され鋼に変えられる。
(Ⅱ)製鋼
溶融状又は固体状の銑鉄又は鋳鉄及び直接還元によって得られた鉄生産品(海綿鉄)は、鉄くずとともに主要製鋼原料である。これらの原料には、生石灰、ほたる石、脱酸剤(例えば、フェロマンガン、フェロシリコン、アルミニウム)のようなスラグ形成添加剤及び種々の合金元素が添加される。
製鋼法は、二つの主な種類に分かれる。すなわち、溶融銑鉄が転炉により又は吹込み空気によって精錬されるニューマチック法及び平炉又は電気炉のような炉床法である。
ニューマチック法では、外部熱源を必要としない。この方法は、原料が主に溶融銑鉄である場合に用いられる。銑鉄中の元素(例えば、炭素、りん、けい素及びマンガン)の酸化は、鋼を溶融状態に保ち、いかなる添加鉄くずさえも再溶解するのに十分な熱を発生する。これらの方法は純酸素を溶融金属に吹込む方法(リンツ・ドナウイッツ法(LD 又は LDAC)、OBM、OLP、カルドー法その他の方法)及び、現在では古くなったが、空気(酸素を富ませることもある。)を使用する方法(トーマス及びベッセマー法)がある。
ただし、平炉精錬法では、外部熱源を必要とする。これは原料が固体のもの(例えば、鉄くず、海綿鉄及び固状銑鉄)の場合に使用される。
この種には、熱が重油又はガスによって与えられるマーチン炉法(平炉製鋼法)及び熱が電気によって与えられるアーク又は誘導炉法の二つの主な方法がある。
ある種の鋼の生産のために二つの異なる方法が引き続いて使用されることがある(合併法)。
例えば、精錬は平炉で始まり電気炉で終わる場合や電気炉内で鋼を溶解し特別の転炉に移して酸素及びアルゴンを吹き込むことにより脱炭が行われる場合もある(例えばステンレス鋼の製造に使用する方法)。
特殊な成分又は性質をもつ鋼を製造するために多くの新しい方法が開発されてきた。これらの方法には、真空中でのアーク溶融、電子衝撃による溶融及びエレクトロスラグ法がある。
これらのいずれの方法においても、鋼は自焼式電極により製造されるもので、溶融して、水冷鋳型に流込まれる。この鋳型は、ワンピースで作られているか又は凝固した鋳物を下から引き出せるように底が取り外せるようになっている。
上述の方法により得られた溶鋼は(更に精錬される場合もある。)、通常、取鍋に流入される。この過程で合金を作る元素又は脱酸剤が固体又は液体の状態で添加されることがある。
これは、ガス状の不純物が入らないように、真空中で行われることもある。
これらのすべての方法により得られた鋼は、合金を作る元素の含有量により非合金鋼又は合金鋼(ステンレス又はその他のもの)に分けられる。これらは、その特性に従い、例えば、快削鋼、けい素電気鋼、高速度鋼、シリコマンガン鋼等にさらに区分される。
(Ⅲ)インゴットその他の一次形状のもの及び半製品の製造
溶鋼は鋳造工場において鋳型で最終形状に鋳造されることもあるが(鋼鋳造)、溶鋼の大部分はインゴット鋳型でインゴットに鋳造される。
鋳造過程又は注入過程及び凝固過程で鋼は、三種の主なグループ、すなわち、リミング(又は不鎮静)鋼、キルド(又は鎮静)鋼及びセミキルド(又は半鎮静)鋼に分けられる。リミング状態で鋳込まれた鋼は、注入過程の途中又は後で、鋼の中に溶解した酸化鉄と炭素との反応が鋼を泡立たせるのでこのように名付けられている。冷却過程で、不純物は、インゴットの中心及び上半分に凝集するため、不純物に影響を受けない外層は、これらのインゴットから得られる圧延製品の表面に、より優れた外観を与える。このより経済的な種類の鋼は、コールドディッシングにも使用される。
多くの場合、鋼は泡立ち状態で満足に鋳造することはできない。このことは特に合金鋼及び高炭素鋼にあてはまる。これらの場合、鋼はキルドすなわち脱酸しなければならない。脱酸は部分的には真空中の処理で行われるが、通常はけい素、アルミニウム、カルシウム又はマンガンその他の元素を添加することによって達せられる。この様にして、残留不純物はインゴット全体に一層均一に配合され、塊のどの部分でも鋼の性質が同じであるため、特定用途向けの信頼も比較的高い。
鋼のあるものは部分的に脱酸されることがあるが、これは、セミキルド(又は半鎮静)鋼として知られる。
鋼が凝固し、温度が均一化した後にそのインゴットは第一分塊圧延機又は粗圧延機(ブルーム、スラブにするもの等)で半製品(ブルーム、ビレット、ラウンド、スラブ、シートバー)に圧延されるか又はドロップハンマー若しくは鍛造プレスにより鍛造半製品に変えられる。
鋼は、連続鋳造機により直接半製品の形に鋳造されるものが増えている。これらのものの断面の形状は、ある場合には、完成品の形状に近い。連続鋳造法により得られる半製品は、通常、ある程度規則的な間隔をおいて異なった色の横紋を示す外面及び急速冷却の結果生じる放射状の結晶を示す切断面の外観により特徴づけられる。連続鋳鋼は常にキルドされる。
(Ⅳ)完成品の製造
半製品及び時にはインゴットはその後完成品に加工される。
これらは通常、フラット製品(ユニバーサルプレート、ワイドコイル、シート及びストリップを含むワイドフラット)及びロング製品(不規則に巻いた熱間圧延した棒、その他の棒、形鋼及び線)に区分される。
これらの製品は、直接、インゴット又は半製品から熱間(熱間圧延、鍛造又は熱間引抜き)で又は間接的に熱間完成品から冷間(冷間圧延、押出し、線の引抜き、光輝引抜き)で、塑性加工することにより得られ、場合によっては引き続いて仕上げ作業が行われるものもある(例えば、心無研削、精密旋盤加工により得られる冷間仕上げ棒)。
この類の注3の規定により、電解法、圧力鋳造法又は焼結法により得た鉄鋼は、その形状、組成及び外観に従い、これと同種の熱間圧延製品の属するこの類の項に属する。
この注の次の用語については、それぞれ次に定めるところによる。
(1)「圧力鋳造(ダイカスト)」とは、溶融又は半溶融の合金を若干の高圧下において鋳型に流し込む製法をいう。
この方法は大量生産を助長し、寸法の精密さを確保する。
(2)「焼結」とは、型に入れ、通常、圧力を加えて得た圧縮粉末製品を特殊炉で熱する粉末冶金の作業をいう。この作業は、焼結材料に最終的な性質を与え、特定の温度、タイミング及び環境で行われ、固形状の凝集物を産出する。また焼結は、真空中で行われることがある。
(A)熱間塑性加工
(1)「熱間圧延」とは、急速再結晶点と溶融点との間の温度における圧延をいう。この温度範囲は、鋼の組成等種々の要素により変化し、一般に熱間圧延での製造中の加工終了温度は、約 900 度である。
(2)「鍛造」とは、何らかの形をしたものを得るため、ドロップハンマー又はプレスによる金属全体の熱間変形加工をいう。
(3)「熱間引抜き」において、鋼は、棒、管又は各種の形鋼を作るため、熱せられ、ダイスを通される。
(4)「熱間ドロップ鍛造及びドロップスタンピング」とは、特殊な工具を使用し、ダイス(閉じているか又はバージョイント付きである。)での熱間型削りにより、形鋼(通常、コンベアラインによる。)を成形することをいう。作業は衝撃又は加圧により行い、通常、圧延、ハンマリング、ハンドフォージング又は曲げの準備作業に続いて行われる。
(B)冷間塑性加工
(1)「冷間圧延」は、室温、すなわち、再結晶温度より低い温度において行われる。
(2)「冷間ドロップ鍛造及びドロップスタンピング」とは、前記 A(4)に記載した作業に類する冷間作業により、形鋼を成形することをいう。
(3)「押出し」とは、通常冷間で所要の形を得るため、粗材が通る開孔により(他の側面はすべて閉じている)ダイス及びプレス工具の高圧下で鋼全体を変形加工するための方法をいう。
(4)「線の引抜き」とは、より小さい直径の巻いた線を得るため、不規則に巻いた棒又は線材を高速で1個以上のダイスを通して引き抜く冷間作業をいう。
(5)「光輝引抜き」とは、棒(不規則に巻いてあるかないかを問わない。)をより小さく又は異なる断面の形をした製品を得るため、1個以上のダイスを通して比較的に低速で引き抜く冷間作業をいう。
冷間加工製品は、熱間圧延製品又は熱間引抜き製品と、次の基準により区別できる。
-冷間加工製品の表面は、熱間作業による製品より優れた外観を示し、スケールの層ができない。
-寸法公差は、冷間加工製品が小さい。
-薄いフラット製品(薄いワイドコイル、板及び帯)は通常、冷間圧延により製造される。
-冷間加工製品の顕微鏡観察では、顕著な結晶状態の変形及び加工方向に並行な結晶状態の配向が現れるのに対して、熱間作業により得られた製品は、再結晶によりほとんど規則的な結晶状態を示す。
更に、冷間加工製品は、ある種の熱間圧延又は熱間引抜製品にもみられる次の性質を有している。
(a)冷間加工製品は、ひずみ硬化すなわち加工硬化により非常に硬くなり、大きな引張り強さをもつようになるが、熱処理でこの特性が多少少なくなることがある。
(b)冷間加工製品では、破壊時の伸び率は非常に低いが、熱処理により得られた製品は高い。
熱間圧延フラット製品に使用する厚さの著しい減少を伴なわない非常に軽度の冷間圧延処理(スキンパス又はピンチパスとして知られる)は、熱間圧延製品の性質を変えることはない。この低圧でのコールドパスは、本質的に製品の表面のみに作用し、一方真の意味での冷間圧延(冷間圧縮としても知られる。)は、横断面を相当変形することにより、製造中の加工品の結晶構造を変えるものである。
(C)その後の製造及び仕上げ
製品は、更に次に掲げる一連の作業により仕上げ処理を受けるか又は他の製品に加工される。
(1)機械加工
例えば、旋盤加工、フライス削り、研削、穴あけ、ホールディング、サイジング、ピーリング。ただし、単なる酸化物のスケール及びクラスト除去のための粗いターニング及びトリミングは、分類に変更を与える仕上作業とはみなさない。
(2)表面処理その他の作業(クラッドを含む。)
これは金属の性質又は外観を改善するため、さび止め、耐食性等を与えるためのものである。このような処理は、特定の項において別に定めがある場合を除くほか、物品が属する項に影響を与えない。これらには、次の処理を含む。
(a)金属の性質を改善するための焼なまし、焼入れ、焼もどし、肌焼、窒化法による処理その他これらに類する熱処理
(b)金属の熱間加工工程中に生ずる酸化物のスケール及びクラストを除去するためのスケール除去、酸洗い、削り落しその他の処理
(c)単に製品をさびその他の酸化から保護し、運搬時のスリップから防止し、取扱いを容易にするために施された粗い被覆加工。例えば、有効防錆顔料(鉛丹、亜鉛粉末、酸化亜鉛、クロム酸亜鉛、酸化鉄、アイアンミニウム、ジュウェラーズルージュ)を含む塗料並びに油、グリース、ろう、パラフィンろう、黒鉛、タール又はアスファルトをもととした非顔料系塗料の塗布
(d)表面仕上処理(次のものを含む。)
(ⅰ)研磨、バニシ仕上げ又はこれに類する処理
(ⅱ)人工酸化(酸化溶剤に浸す等の各種の化学的方法による。)、パチナ仕上げ、ブルーイング(ブルー焼なまし)、ブラウニング又はブロンジング(各種の技法による。)これらは、その外観を改善するため、製品の表面に酸化皮膜を形成するものである。この処理によりさびに対する抵抗力が増加する。
(ⅲ)化学的表面処理
-金属のりん酸塩、特にマンガン、鉄及び亜鉛のりん酸塩の溶液に物品を浸漬するりん酸塩処理。この方法は処理の時間及び浴の温度に従いパーカライジング又はボンデライジングとして知られる。
-適当な塩又は酸を使用する、りん酸塩処理に類する方法によるしゅう酸塩処理、ほう酸塩処理等
-クロム酸又はクロム酸塩を主成分とする溶液に物品を浸漬するクロメート処理。この方法は、例えば、亜鉛めっきした鋼板の表面処理に使用される。
これらの化学的表面処理は、金属の表面を保護し、製品のその後の冷間変形加工及びペイントの塗布又はその他の非金属性保護物質の被覆を容易にする利点がある。
(ⅳ)金属の被覆(メタライゼイション)の主な方法は、次のとおりである。
-溶融した金属又は合金の浴に浸漬する溶融めっき。例えば、溶融亜鉛めっき、すずめっき、溶融鉛めっき、アルミニウムめっき
-電気めっき(金属塩(例えば、亜鉛、カドミウム、すず、鉛、クロム、クロム酸塩、銅、ニッケル、金又は銀)の安定な溶液の電気分解により被覆金属の陰極につないだ製品上への析出)
-浸透法又は拡散法:粉末状の被覆金属を被覆される製品とともに加熱することによる。例えば、シエラダイジング(亜鉛のセメンテーション)、カロライジング(アルミニウムのセメンテーション)及びクロマイジング(クロムの拡散)
-溶射法(溶融した被覆金属を噴射して、物品に直接吹付ける。)。例えば、スクープ法並びにガスピストル法、アーク法、プラズマ法及び静電スプレー法
-真空蒸着法等による金属被覆法
-グロー放電で、イオン化した金属の衝撃による金属被覆法(イオン化メッキ)
-陰極蒸着による被覆法(スパッタリング)
(ⅴ)非金属物質による被覆法
例えば、エナメル、ワニス、ラッカー、ペイントの塗装、表面印刷、セラミック又はプラスチックでの被覆(グロー放電、電気泳動、静電射出及び静電流動槽への浸漬後のラジエーションファイヤリングによる特殊な方法等を含む。)
(e)クラッド処理
異なる色又は性質の金属層を組み合わせて接触面の分子拡散によって張り合わせることをいう。この限定された拡散はクラッド製品の特徴であり、前記の方法で金属被覆したもの(例えば、電気めっきしたもの)とは異なるものである。
各種のクラッドの方法には、溶融金属を基体金属に注いだ後に圧延する方法、基体金属に十分溶接させるための単なる熱間圧延法、その他クラッド用の金属を沈積させ又は重ね合わせた後に、十分溶接させるための機械的又は熱的過程を経る方法を含む。例えば、電気クラッドでは、ニッケル、クロム等のクラッド用の金属は、電気めっきによって基体金属に付着させる。次いで接触面における分子拡散は、熱間圧延により行なわれ、更に適当な温度で冷間圧延で行われる。
非鉄金属とのクラッドのものは、鉄鋼の重量が最も多い場合に限り 72類の該当する項に含まれる(15部注7参照)。材質の異なる鉄鋼でクラッドした鉄鋼は、原物品又はクラッド金属の成分に従って2つの節(2節、3節又は4節)に該当するが、これらは、同様に、重量が最も多い鉄鋼の該当する項に属する(類注2参照)。例えば、ステンレス鋼でクラッドした非合金普通鋼の棒については、普通鋼の重量が多いときは2節に、そうでないときは3節に属する。
(f)材料試験用に金属の一部を除去したもの
(g)積層
例えば、粘弾性物質(音等の絶縁体(insulator)用)の中間層の上に金属の層を重ねたもの
*
* *
鉄金属の合金と他の物品とを結合した物品の所属については、15部総説を参照

第 1 節
一次材料及び粒状又は粉状の物品
総説
この節には、次の物品を含む。
(1)鉄鋼製造の一次材料(銑鉄、スピーゲル、フェロアロイ、鉄鉱石の直接還元により得られた鉄鋼及び海綿鉄鋼、くず及び再溶解用インゴット)及び重量比で 99.94%以上の純度の鉄(72.01 から 72.04 まで)
(2)銑鉄、スピーゲル又は鉄鋼の粒及び粉(72.05)

第 2 節
鉄及び非合金鋼
総 説
この節に規定される鉄及び非合金鋼には、次のものを含む。
(1)インゴット、パドルバー、パドルパイリング、ブロック及びランプのような一次形状のもの(溶融状態の鋼を含む。)(72.06)
(2)ブルーム、ビレット、ラウンド、スラブ、シートバー、粗鍛造品及び形鋼のブランクのような半製品(72.07)
(3)フラットロール製品(72.08 から 72.12 まで)
(4)熱間圧延し、かつ、不規則に巻いた棒(72.13)及びその他の棒(72.14 又は 72.15)
(5)形鋼(72.16)
(6)線(72.17)
降伏点
これらの号に属する物品の降伏点は、荷重を加えた際に、非弾性変形が起こる点をいう。

第 3 節
ステンレス鋼
総 説
この類の注1(e)に規定した基準に従い耐熱鋼、耐クリープ鋼及びその他の鋼は、ステンレス鋼として分類する。
ステンレス鋼は、高耐食性のため非常に広範囲の用途(例えば、消音器、触媒コンバーター、変圧器タンクの製造)に使用される。
この節には、72.18 項から 72.23 項に掲げる形状のステンレス鋼を含む。

第 4 節
その他の合金鋼及び合金鋼又は非合金鋼の中空ドリル棒
総 説
その他の合金鋼についてはこの類の注1(f)に、また、中空ドリル棒についてはこの類の注1(p)に規定されている。
この節には、ステンレス鋼以外の合金鋼でインゴットその他の一次形状のもの、半製品(例えば、ブルーム、ビレット、ラウンド、スラブ、シートバー、粗鍛造品)、フラットロール製品(巻いてあるかないかを問わない。いわゆるワイドフラット、ワイドコイル、シート、板又はストリップ)、棒、形鋼及び線を含む。
これらの物品は、加工したものであっても他の項の物品の特性を有しない限りこの項に含まれる(72.06 項から 72.17 項までの解説参照)。
その他の合金鋼の中に最も一般的に存在する金属は、マンガン、ニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム又はコバルトであり、非金属添加物としては、けい素がある。これらの合金材料は、鋼に対して特殊な性質、例えば、耐衝撃性又は耐摩耗性(マンガン鋼)、電気特性の改善(けい素鋼)、焼き戻し性の改善(バナジウム鋼)、切削速度の増大(クロム・タングステン鋼)を与える。
その他の合金鋼は、特殊な品質、例えば耐久性、硬度、弾性、強度が要求される各種の用途(例えば、兵器、工具、刃物、機械)に使用される。
この節の合金鋼には、次のものを含む。
(1)通常、クロム、マンガン、モリブデン、ニッケル、けい素及びバナジウムを含む工学用及び構造用合金鋼
(2)特に微量のボロン(全重量の 0.0008%以上)又はニオブ(全重量の 0.06%以上)を含み、引張強さ及び溶接特性を改善した合金鋼
(3)クロム又は銅を含み、耐候性を有する合金鋼
(4)通常、3%ないし4%のけい素又は時としてアルミニウムを含む、いわゆる「マグネチック」シート(磁気損失が低い。)と称されている合金鋼
(5)注1(f)の条件に適合し、かつ、鉛、硫黄、セレン、テルル又はビスマスの少なくとも一を含む合金快削鋼
(6)軸受用合金鋼(通常、クロムを含む。)
(7)ばね用シリコマンガン鋼(マンガン、けい素及び時としてクロム又はモリブデンを含む。)及びその他のばね用合金鋼
(8)マンガンの含有量が高い耐衝撃、耐摩耗性の非磁性合金鋼
(9)高速度鋼:これは、モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちいずれか二以上の元素を含有し、その含有量の合計が全重量の7%以上で炭素の含有量が全重量の 0.6%以上、クロムの含有量が全重量の3%から6%までの合金鋼(他の合金元素を含有するかしないかを問わない。)をいう。
(10)非歪工具鋼:通常、クロムの含有量が全重量の 12%以上で炭素の含有量が全重量の2%以上のもの
(11)その他の合金工具鋼
(12)アルミニウム、ニッケル及びコバルトを含む永久磁石鋼
(13)マンガン又はニッケル含有量によって特徴づけられる非磁石性合金鋼(第3節に該当するものを除く。)
(14)ボロン含有量の高い原子炉の制御棒用鋼
この節には、合金鋼又は非合金鋼の中空ドリル棒を含む(72.28)。

第72類のその他

表題

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