経済産業省 令和3年度補正予算「経済連携協定関連ツール開発実証事業」成果報告
-FTA活用のための原産地証明デジタルツール実証事業-
(実施期間:2022年7月1日~2023年2月28日)
実証事業の目的
FTAを活用することが当たり前の時代が到来した一方で、FTAを適用させるために必要な原産地証明では、産品によっては煩雑な工程や難解な制度の理解が要求され、多くの課題があります。
実証事業では、原産地証明の効率的な実施に必要なインフラを整えるため、多くの皆さまに「FTA活用のための原産地証明デジタルツール」を実際に使用していただき、デジタルツールに必要な要素など、様々なご意見を集めることを目的としています。
FTA活用が、グローバルビジネスの常識となる時代
FTA(自由貿易協定)とは、国や地域間の取引でかかる関税や規則を緩和し、物品やサービスなどの貿易を拡大するための協定です*1。
輸入関税を削減することで、キャッシュアウトを抑え利益増加に直結させることができるため、FTAはグローバル企業必須のアイテムとなっています。
世界の発効済みFTAの件数は20年で4倍以上に増加しており(下図:左)、日本の貿易総額に占めるFTAカバー率*2は、2022年1月に発効されたRCEP*3を含めると80%近い水準となります。(下図:右)
*1 FTAに加え、投資や知的財産等も含む広範囲の取り決めをEPA(経済連携協定)といいます
*2 日本からの輸出総額に占めるEPA締約国向け輸出額の割合(財務省貿易統計(2019年)を基に東京共同会計事務所にて作成)
*3 RCEP:地域的な包括的経済連携協定
「EPAデジタルイノベーションフォーラム」概要
実証事業を通して作成した成果物やEPA活用推進の活動について、成果発表の場として「EPAデジタルイノベーションフォーラム」を開催し(2023年2月20日~21日)、ご協力いただいた業界団体ならびに企業の皆さまよりご紹介いただきました。
来賓挨拶
特別セッション「経済連携協定関連ツールのあるべき姿を考える」において、太田副大臣より来賓挨拶をいただきました。
EPAは輸出拡大に欠かせない制度である一方、EPAを使うための手続きが煩雑で難しいことから活用を断念したという声が聞こえてきています。そこでカギを握るのが「デジタルイノベーション」です。経済産業省はEPAの手続きをワンストップで進めるデジタルツールの開発を後押ししており、予算事業の一環として実務や業界特性を反映したツールが完成しました。デジタルツールについては、ユーザーの声を聞きながら、不断の改善が続けられていくことを期待しています。
経済産業副大臣 太田 房江
業界団体の先進的な取組
印刷産業機械
建設機械
工作機械
紙パルプ
自動車
繊維
鉄鋼
業界横断
EPA活用体制の企業事例
概要
- EPA活用体制構築におけるお悩み
- 知識の壁、社内の壁、協力企業の壁の突破口
- デンソー様、スズキ様のEPA活用体制
HSLABの開発経緯 -EPAに特化したHSコード検索サイトー
概要
- アイシン様における「EPAとHSコードの手の内化」の歴史
- 中堅中小企業の課題解決が自動車業界のEPA活用促進のカギ!
- 鉄鋼業界におけるEPAとHSコードに関する取り組み
- 3つのポイントを抑えれば、鋼材のHSコードの理解は容易!
JAFTAS誕生秘話と今後の展開
概要
- 国内産業の発展に大きく寄与するEPA
- 自動車業界における取り組みとJAFTAS誕生経緯
- JAFTASに蓄積されたデータは「宝の山」 有効活用を模索
- 自動車業界標準システムから日本全体のEPA社会インフラへの発展を目指して
実施報告書「経済連携協定関連ツール開発実証事業」
問い合せ先 東京共同会計事務所
jaftas_info@tktc.co.jp / 03-5219-8660