進め方が分かるフローチャート:PHASE 2 原産品であることの確認_D 原産資格調査

※「加工品・工業製品」であることを前提として解説しております

対象産品が日本の原産品であることを証明しよう!

EPAFTAを利用するためには、日本の「原産品」であることが必要不可欠です。原産品であることを証明するには、以下の3つのルールを満たす必要があります。

① 日本国内で最終製造・加工がされている
品目別原産地規則(=EPAFTAで定められた原産品と認められるためのルール)をクリアしている
品目別原産地規則をクリアしていることが根拠書類で立証されている

EPAFTAにおける原産品の考え方

D 原産資格調査では、社内の生産関連資料が必要となりますので、必要に応じて他の部署の協力も仰ぎながら進めてください。

注意点 PHASE2以降で使うHSコード

HSコードは約5年に一度、一部品目について名称・分類が改訂されます。
EPAFTAを利用する際には、各協定に定められた年次のHSコードを使いますので、輸入通関時のHSコードとは異なる場合もあるので、ご留意ください。
輸入者には、通関時に使う最新年次のHSコードだけでなく、協定年次のHSコードも確認してください。

2002年版

(HS2002)

2007年版

(HS2007)

2012年版

(HS2012)

2017年版

(HS2017)

2022年版

(HS2022)

日シンガポール協定

日メキシコ協定

日マレーシア協定

日チリ協定

日インドネシア協定

日ブルネイ協定

日フィリピン協定

日スイス協定

日ベトナム協定

日インド協定

日ペルー協定

日オーストラリア協定

日モンゴル協定

CPTPP

日米貿易協定

日EU協定

日英協定

日タイ協定

日アセアン協定

RCEP協定

日アセアン協定は、2023年3月1日より2002年版から2017年版に変更されます。
RCEP協定は、2023年1月1日より2012年版から2022年版に変更されました。

作業手順

STEP1日本で生産されていることを確認しよう!
ポイント
  • 対象産品生産場所と生産工程が確認できる社内資料(例:生産工程表等)を用意します
  • 以下の2点を満たしているかどうかを確認します
  • ここで確認する工場の住所は、STEP3で必要となります

① 生産工場の所在地が日本国内である

海外で生産している場合は、非原産となり、EPAFTAは利用できません。

② 十分な生産行為を行っている

各協定で生産行為の定義がされています。
「生産行為の定義に関する協定内容」を参照し、十分な生産行為かどうか確認しましょう。

STEP2品目別原産地規則(原産品と判断するための基準)を選ぼう!
ポイント

品目別原産地規則とは

原産品と判断するための基準で、CTCルールVAルールなどがあります。
CTCルールVAルールが「又は」でつながれている場合には、どちらか一方を選択して、選択した品目別原産地規則1つを満たせばよいこととなります。

※「CTCルール」「VAルール」について概要を確認したい方は、各用語をクリックすると用語集にリンクいたしますので、そちらをご参照いただくか、「マンガでわかるEPA Day5:CTC/VAを理解しよう!」をご参照ください。

一般ルールとは

一部の協定では、「一般ルール」と表示される品目があります。
その場合の「一般ルール」とは、以下の通りです。

協定 一般ルール
日アセアン協定 関税分類変更基準4桁変更(CTH or 付加価値基準40%以上(RVC40)
日スイス協定 関税分類変更基準4桁変更(CTH or 付加価値基準40%以上(RVC40)
日ベトナム協定 関税分類変更基準4桁変更(CTH or 付加価値基準40%以上(RVC40)
日インド協定 関税分類変更基準6桁変更(CTSH and 付加価値基準35%以上(RVC35)

CTCルールVAルールどちらか選択できる場合

同一製品の継続的な輸出がある

CTCルールがおすすめ!

メリット

構成部品や生産工程の変更がなければ
原産性が失われる可能性も少ない

デメリット

HSコード分類の調査工数が大きい

「ある程度の固まり」の考え方で 調査工数を抑えることができます!

※ある程度の固まりとしての部分品の考え方については、
経済産業省「原産性を判断するための基本的考え方と整えるべき保存書類の例示」P10をご参照ください。

同一製品の継続的な輸出がない

VAルールがおすすめ!

メリット

自社生産で普段から製品別原価計算を
行っている場合は調査工数が少ない

デメリット

コスト変動により原産性が失われる可能性が大きい

社内で余裕率を設定することで対策することができます!

お役立ちサイト
FTA Port:HS LAB

EPAFTA原産地証明に特化したHSコードの情報提供サイト

できるコト

✔ 各協定年次版HSコードの検索
✔ 特定したHSコード関連の注や解説の確認

こんな方におすすめ!

✔ 各協定から輸出品の協定年次版HSコードを確認したい方
✔ 各協定からCTCを使うにあたって、構成品・材料の協定年次版HSコードの候補を知りたい方

日本税関:輸出統計品目表

日本の輸出通関のために用いるHSコードを特定する際の品目表が掲載されているサイト

できるコト

✔ 各協定年次版HSコードの検索
✔ 特定したHSコード関連の注や解説の確認

こんな方におすすめ!

✔ 調べたいHS年次を把握した上で、HSコードを確認したい方

WCO 世界関税機構:HS Tracker

HSコードの改定履歴を追跡できるサイト

できるコト

HSコードのコンバージョン
HSコード改定の際の変遷の確認

こんな方におすすめ!

✔ 最新のHSコードは分かっているけれど、協定年次版のHSコードを知りたい方

日本税関:原産地規則ポータル(品目別原産地規則の検索)

輸入国/協定年次版HSコードの情報から、品目別原産地規則を確認できるサイト

できるコト

✔ 利用協定の品目別原産地規則を確認できる
✔ 仕向国毎に利用できる協定の品目別原産地規則を比較することができる

こんな方におすすめ!

品目別原産地規則を確認したい方
品目別原産地規則の難易度を比較し、利用協定を決めたい方

step3品目別原産地規則をクリアするかを確認しよう!
ポイント

対比表計算ワークシート」(原産性の確認資料)のフォーム

原産性の確認資料(CTC証明用)

対応協定
日メキシコ・日マレーシア・日チリ・日ブルネイ・日フィリピン・
日アセアン・日ベトナム・日インド・日スイス・日ペルー・
日オーストラリア・日モンゴル・RCEP・日タイ

原産性の確認資料(VA証明用)

対応協定
スイス以外その他協定(タイ、インド、マレーシア等)
スイス日スイス協定

対比表及び計算ワークシートのフォームに関する著作権は経済産業省に属します。
 掲載しているリンク先は全て、経済産業省HPにて公開されているひな形となっております。
 利用規約等につきましては、経済産業省が規定する内容に準じます。

▶応用:CTCルールVAルールをクリアしなかった場合の対応方法

1.救済規定の適用

協定により“デミニマスルール”や“累積”等の救済規定が設けられています。
まずは、それらの規定が適用できるか確認します。
デミニマスルールCTCルールの場合のみ適用可能

2.サプライヤー証明書の入手

材料の仕入先に、当該材料が日本の原産品であることを証明してもらうことで、その材料についてはHSコードの変更をしないことが認められます。
サプライヤー証明書を入手するには、サプライヤー側へ原産資格調査の依頼することとなります。依頼にあたっては、「依頼・回答シート」の依頼者側の情報を記入して、送付しましょう。

よくわからない場合は、専門家へご相談ください!

メール相談・対面相談

※回答:電話orメール

電話相談

※回答:原則メール

ここまでで、輸出品の原産性が確認できました。
この後は、証明制度によって手続きが異なります。

お役立ちサイト
日本商工会議所:第一種特定原産地証明書発給申請マニュアル -発給システム操作編- 

日本商工会議所への原産品判定依頼の手続きについて確認できる資料

できるコト

✔ 発給システムの入力方法の確認
✔ 発給システム入力時の留意点の確認

こんな方におすすめ!

✔ 初めて発給システムに入力をされる方
✔ 発給システムに入力したけど、入力した内容に不安がある方