Project
EPA活用体制の企業事例
経済産業省 令和3年度補正予算
経済連携協定関連ツール開発実証事業
「FTA活用のための原産地証明デジタルツール実証事業」実施報告
プロジェクトメンバーご紹介
- 株式会社デンソー
生産管理部 海外生産管理室
海外生産管理2課長 - 山下 久乃 様
- スズキ株式会社
海外事業業務部
営業支援グループ
マネージャー - 岡本 理沙 様
体制構築におけるお悩み
「自社にとって最適なEPA活用体制を構築したいけれど、どのような体制にしたらよいのかイメージが湧かない」
「他社はどのような体制でEPA活用を進めているのだろう?」
このようなお悩みを抱えていませんか?
EPAの拡大に伴い、EPAを活用しコスト削減等のメリットを享受できる機会が拡がっている今、自社でもしっかりとEPA活用体制を構築したいとお考えの企業様が増えています。
皆さまが自社のEPA活用体制を検討される際の参考にしていただくべく、TKTCでは今回、株式会社デンソー生産管理部 海外生産管理室 海外生産管理2課長山下久乃様とスズキ株式会社海外事業業務部 営業支援グループ マネージャー岡本理沙様をお迎えし、EPAを活用とする上で障害となる、知識の壁、社内の壁、協力企業の壁、という3つの壁をどのように乗り越えて体制構築を進めてこられたかお話を伺いました。 ※所属部署・役職については、セミナー当時情報に基づいております。
知識の壁の突破口
まず立ちはだかるのは「知識の壁」。
「専門用語が多く難しい」「情報が膨大でどこから手を付けたらよいかわからない」「誰にも相談できずに困っている」
このように、現場では知識の習得が一筋縄ではいかず、課題山積。多くの企業様がこの壁でまず躓いています。
TKTC
貴社ではどのようにしてこの壁を突破されてきましたか?
スズキ 岡本様
ウェビナーなどのセミナーを多く受講しています。私自身、EPA業務4年目になるのですが、最新のセミナーを受講することで、いつも新たな発見や気づきが生まれております。
デンソー 山下様
岡本様と同様、セミナーに参加し知識のキャッチアップをしています。
それに加え、FTAに関する情報がわかりやすく整理されているFTAPortや業界別にHSコードの特定をサポートするコンテンツが掲載されているHS LABを活用しています。FTA Portには、初心者向けのコンテンツで「マンガでわかるEPA」なども公開されているため、新担当者への教育にも役立っています。
社内の壁の突破口
次に立ちはだかるのは「社内の壁」。
「社内から必要な情報を集めるのが大変」「他部署への説明と協力要請で難航」「上層部に経営アジェンダとしてのEPAを説明するのが難しい」
このように、社内で業務を効率的かつ安定的に進めるための土台をつくろうとしても、他部署からの協力を得られず苦労されている企業様が大変多いです。
TKTC
貴社ではどのようにしてこの壁を突破されてきましたか?
スズキ 岡本様
部門横断の新プロジェクトを立ち上げた際、はじめは各部門からあまり協力を得られず、プロジェクトをスムーズに進めることができなかったため、社長・副社長を含む経営陣からのサポートを仰ぎ、進めてきました。
TKTC
EPAのように部門横断のプロジェクトの場合、経営層の方も巻き込みながら取り組むことが重要なのですね。デンソー様の場合はいかがでしたか?
デンソー 山下様
EPA活用のメリットは明確なため社内関係者の理解や協力は得やすいのですが、証明プロセスが複雑で負荷も掛かるため「やりたいけど、やりきれない」という状況でした。デジタルツールの導入により、調査に掛かる工数を大きく削減することができ、社内でのEPA業務がスムーズになりました。
TKTC
デジタルツールを核にしながら効率的な社内体制を構築されてきたのですね。
協力企業の壁の突破口
社内だけではなく、仕入先様への協力依頼も必要になることがあります。そこで立ちはだかるのが「協力企業の壁」。
「証明工程が複雑な為、仕入先様からの協力が得られにくい」「協力依頼のための説明が難しい」
このように、仕入先様とのEPA業務を築くことが難しく、そのためEPAの活用が進まないという企業様も多いようです。
TKTC
貴社ではどのようにしてこの壁を突破されてきましたか?
スズキ 岡本様
デジタルツール導入の際に、「新たなシステムに慣れるのが非常に大変」という声をいただきました。お取引先様と密なコミュニケーションを図って、ツールの活用方法等を丁寧にご案内したことで、お取引先様の負担を軽減し、EPAの対応へのご協力をいただけるようになりました。
デンソー 山下様
スズキ様と同じです。デジタルツールを使いきれていないケースが多かったため、効率化を実現できる機能を説明し、運用への落とし込みをサポートしたことで、ご協力いただきやすくなりました。
3つの壁を乗り越え、社内体制の構築
サプライチェーンをつなぎ、効率的な原産地証明を実現できます。
TKTC
スズキ様ではEPA業務を1つの部署に集約して行っていますが、デンソー様では、生産管理部が業務の取りまとめをしつつも、各製品の事業グループにて原産資格調査を行っているとお伺いし、興味深いです。現在の体制となった経緯を教えていただけますか?
デンソー 山下様
弊社は事業部制を採用しておりますので、製造責任を持つ事業グループがEPAの原産資格調査を実施しています。生産管理部はEPA協定や輸出入に関わる専門部隊として事業グループをサポートしています。
スズキ様にぜひお伺いしたいのですが、1つの部署に集約する社内体制のメリット/デメリットはどんなところにあると思われますか?
スズキ 岡本様
調査から原産地証明書の発給まで一気通貫で対応できるので、非常に効率的です。もともと地域毎・商品毎の海外営業担当者が個別対応していた業務をまとめてきたという経緯があります。
一方で、業務範囲が広く、四輪・二輪・船外機それぞれの商品特性を理解する必要もあります。また、専門性がかなり高く、他の部署にはあまり理解されないことが多いため、毎年EPAについての社内研修を実施して、理解を呼び掛けています。
デンソー様の社内EPA体制
スズキ様のEPA社内外相関図
まとめ
今回は、デンソー様とスズキ様にご協力いただき、EPAを活用とする上で障害となる、
知識の壁、社内の壁、協力企業の壁、という3つの壁をどのように乗り越えて体制構築を進めてこられたかお話を伺いました。
「知識の壁」については、セミナーへの参加や情報サイト等を活用しながらキャッチアップをすることが大切だというお話いただきました。
このようなご意見を反映して作成したFTA PortやHS LAB、皆さまもぜひご活用ください。
「社内の壁」については、経営層の関与/サポート、デジタルツール導入により工数の削減を図ることが重要であるとのご意見いただきました。
様々な部署が関係するEPAという業務ならではだと思います。他社の方からも同様のご意見をよく伺います。
「協力企業の壁」ここでもデジタルツールの導入がポイントでした。
デジタルツールを導入し、業務の落とし込みのサポートを進めながら、仕入先様の負担を減らすと同時に業務品質も向上させることができます。
社内体制の構築については、これが正解というものはないということをお二人のお話を伺い再認識しました。
自社の状況を踏まえ、自社にとってどのような体制が最適かということを考えていく必要があります。
環境変化にあわせて体制も変化させていくものということを考えると、EPAの社内体制も常に課題認識のアンテナを張り、柔軟に変化させていくことが求められると言えるかと思います。
White Paper
お役立ち資料
EPA/FTAについての理解を深めたい方は
こちらをご覧ください。
Contact
お問い合わせ
お客さまの声をお待ちしております。
お困りごとやご質問がございましたら、
お気軽にご相談ください。