2022年7月5日

「EPA活用推進会議」で業界横断の貿易手続き電子化を推進
~JAFTASⓇをベースに、あらゆる輸出企業が利用できるデジタルプラットフォームを開発へ~

東京共同会計事務所
株式会社東京共同トレード・コンプライアンス
株式会社NTTデータ

東京共同会計事務所および株式会社東京共同トレード・コンプライアンス(以下、両者をあわせて「東京共同」)と株式会社NTTデータ(以下、「NTTデータ」)は、2022年7月6日に経済産業省が新たに設置する「EPA注1活用推進会議」(以下、「本会議」)にメンバーとして参画します。
本会議は経済産業省が主催し、中堅・中小企業を含む日本の輸出企業に対しEPA活用による我が国の産業の国際競争力の強化を促すことが目的です。民間からは自動車、金属・鉄鋼、化学、情報通信機器、素形材、産業機械、繊維、紙パルプなど全10業種の業界団体、各業界のEPA有識者と共に東京共同とNTTデータが参画します。業界や企業の垣根を越えて、官民一体でEPA活用の課題共有や改善策の検討などを行います。
東京共同とNTTデータは、自動車業界のFTA原産資格調査の標準化を実施してきました。2022年7月からは、経済産業省の補助事業として中堅・中小企業のEPA関連手続きを簡素化・電子化するデジタルプラットフォームの構築に係る実証事業を開始しています。JAFTASⓇ(読み:ジャフタス)注2をベースにデジタルプラットフォームを開発し、2022年10月にはEPA活用プラットフォームに求められる要件について実証を行います。本会議では、当該プラットフォーム機能の実証成果を共有し、課題解決の要点を検討します。

1.背景

近年、RCEP協定注3など日本と主要貿易国・地域間でEPAが相次いで発効され、関税減免により、海外での販売拡大の機会が広がっています。しかしながら、EPA関連の手続きは煩雑かつ難解であり、さらなる活用のためには3つの壁を打破する必要性があります。具体的な課題として、FTAの制度に対する理解が十分でない「知識の壁」、自社で把握していない情報があり、また担当者が明確でないこと等に起因して必要な申請手続きができない「社内の壁」、取引先に原産性調査を依頼する際に生じる「協力企業の壁」といった3つの壁や制度的な問題があります。
東京共同とNTTデータは、これまで自動車業界標準のEPA活用支援システム「JAFTASⓇ」を提供することでEPA活用向上を目指してきました。本システムを利用することで、原産地証明書の作成プロセスが約4割短縮し、さらに「協力企業の壁」や「社内の壁」を打破できるよう取引先の機微情報や価格情報の保護する効果が上げられます。このような取り組みによってJAFTASⓇは、経済産業省の「自動車産業適正取引ガイドライン」においても、利用が推奨されています。
今回発足する「EPA活用推進会議」へ参画することで、EPA手続きの簡素化によるEPA活用の一層の向上へ取り組むこととしました。

2.本会議での取り組み内容

本会議では、さまざまな業界団体が業界横断でEPAの利活用に関する課題を共有し、業界標準のマニュアルや帳票の作成、EPA関連手続きを簡素化・電子化するデジタルプラットフォームの開発などが検討されます。

【業種特性を踏まえたアプローチ】
EPAの利活用に関する課題を業種横断的に共有し、制度の課題抽出から政策提言を行う
・各業界団体による傘下企業への支援に関するベストプラクティスの共有
EPAの利活用に関する課題を共有し、解決方法を検討
(検討項目の例)
・業種毎にEPA申請の標準作業フローを構築し、マニュアルの検討
・原産地証明書の申請準備に必要な根拠書類の標準フォーマットの検討
EPAの利活用に関する政府への政策提言

【デジタルプラットフォームの構築】
EPA関連手続きを簡素化・電子化し、企業をワンストップで支援できるデジタルプラットフォームの検討

東京共同とNTTデータは、現在提供中のJAFTASⓇを本事業の実証用に改良し、EPA関連手続きを簡素化・電子化するデジタルプラットフォームとして、2022年7月1日から2023年2月28日まで無料開放します。2022年10月にはEPAを利用する上で必要不可欠な、世界共通の輸出入品目分類番号であるHSコードを管理する機能を追加し、デジタルプラットフォームに求められる要件を利用企業と実証します。その結果を本会議にて共有することで、EPA活用に必要なプラットフォームについての議論に貢献します。注4

3.今後について

東京共同とNTTデータは、日本全体でのEPA活用の加速に伴い、標準化された国内運用ルールをJAFTASⓇに搭載し、EPA関連手続きを簡素化・電子化するための全産業向けデジタルプラットフォームの構築を目指します。また、今回のプラットフォームの実証のような企業間のデータ連携の取り組みは、カーボンニュートラルの達成や資源循環社会の実現などの社会課題解決に向けての展開にも資するものと考えます。今後、さまざまな企業や業界団体と連携して、EPA活用に限らない新たなデータ流通プラットフォームの開発・推進にも取り組んでいきます。

(注1)  経済連携協定EPA)とは、国や地域間の取引でかかる関税や規制を緩和し、物品やサービスなどの貿易の拡大を促進するための協定である自由貿易協定FTA)に加え、投資や知的財産権などより広範囲を取り決めた国際的協定です。

(注2)  JAFTASⓇとは、東京共同とNTTデータが共同開発した自動車業界標準のEPA活用支援システムです。自動車業界等主要12社と約1,500社超のサプライヤー企業が利用し、導入企業では、サプライヤーからの原産資格調査結果の回答率が50%から75%に改善され、また、回答リードタイムが最大4割削減されるなどの効果が表れています。

(注3)  RCEPは日本、中国、韓国などと東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の合計15カ国で構成され、世界最大の自由貿易圏を創出する経済連携協定です。減免対象となる貿易取引の規模が大きく、さらには、輸出最大国である中国と輸出量上位の韓国に対して初めて日本が締結する協定であることから、日本企業に大きな経済メリットをもたらすことが期待されています。

(注4)  実証用に用意したJAFTASⓇの利用企業を随時募集しています。利用希望の場合は東京共同の提供する「FTA活用のための原産地証明デジタルツール実証事業特設ページ」(外部サイト)より申し込みできます。
https://jaftas.jp/fta-digitaltool-poc/

参考
自動車業界が標準化を支援、自由貿易協定活用支援システムを提供開始
 https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2020/061900/
自動車輸出にまつわるFTA活用の深刻な問題と解決に向けた業界のアクションとは?
 https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/033001/
自由貿易協定活用に伴う業務を最大40%効率化する「JAFTAS®」がRCEPへ対応開始
 https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2021/100100/

*「JAFTASⓇ」は株式会社東京共同トレード・コンプライアンスの登録商標です。
*その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です
*株式会社東京共同トレード・コンプライアンスは、「JAFTASⓇ」の運営のため東京共同会計事務所の100%出資により設立された会社です。

本件に関するお問い合わせ先

■ 報道関係のお問い合わせ先
  東京共同会計事務所
  アドミニストレーション部 IR担当 相坂
  Tel:03-5219-8777
  E-mail:info@tkao.com

  株式会社東京共同トレード・コンプライアンス
  JAFTAS事業部
  広報担当 中垣
  TEL:03-5219-8660 
  E-mail:jaftas_info@tktc.co.jp

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